「マンガ大賞2022」の第3位を受賞し、2024年に再び同賞で第8位にランクインした人気漫画『ひらやすみ』。
みなさんは読んだこと、ありますか?
『ひらやすみ』は読むと癒されるだけでなく、自分自身の生き方を肯定してもらったような、前向きな気持ちになれる作品です。
この記事では漫画『ひらやすみ』の基本的な情報やあらすじ、筆者がこの作品を「面白い」と感じるポイントを紹介していきます。
物語の序盤を無料で試し読みできる方法も紹介するので、『ひらやすみ』を読もうか迷っている / 試し読みしてみたい人は、ぜひ最後までご覧ください!
漫画『ひらやすみ』の概要
『ひらやすみ』は、小学館が出版する週刊ビッグコミックスピリッツにて、2021年4月から連載中の漫画です。
現在(2024年4月時点)第7集まで発売されています。
この作品は連載開始から今まで、複数回漫画の賞を取っている話題作です。
読売 / 日本テレビで放送されているテレビ番組「川島・山内のマンガ沼」にて、パーソナリティの1人、麒麟・川島 明さんから紹介され話題となりました。
出版社 | 小学館 |
レーベル | ビッグコミック |
掲載誌 | 週刊ビッグコミックスピリッツ |
作者 | 真造圭伍(しんぞうけいご) |
受賞歴 | 2021年 「輝け!ブロスコミックアワード 2021」大賞 2022年 「マンガ大賞2022」3位 「THE BEST MANGA 2022 この漫画を読め!」3位 2024年 「マンガ大賞2024」8位 |
漫画『ひらやすみ』の作者:真造圭伍先生とは?
『ひらやすみ』の作者は漫画家、真造圭伍先生です。
過去に『森山中教習所』『トーキョーエイリアンブラザーズ』の2作品が、それぞれメディア化されています。
先生は2020年3月に悪性リンパ腫という病気を発症し、当時連載していた作品『ノラと雑草』を休載。治療のため入院する運びとなりました。
同時にこの年は、新型コロナウィルスが流行しはじめた時期とも重なったようです。
そんな中でも先生は治療している間に『ひらやすみ』を描き、その後連載が決まります。
ご自身が出演したマンガ沼の番組内で、先生は『ひらやすみ』を発想した理由や、今作品に込めたメッセージをこのように語っています。
自分の好きなマンガや映画やドラマを思い出して、色々詰め込んだのがこのマンガです。平屋にしたのは、マンションよりもキャッチーだし、平屋を舞台としたマンガが少なかったからです。入院している時に読みたい漫画を目指しました。
【引用】FANY Magazine 「入院したことで生まれた、入院した時に読みたいマンガ「ひらやすみ」真造圭伍にガチインタビュー|川島・山内のマンガ沼web 」より
いつでも外に出れて、健康で、食べたいゴハンを食べられて、会いたい人と会える。そんな普通の日常が幸せということをかきたかったのかもしれません。
漫画『ひらやすみ』のあらすじ
生田ヒロト君、29歳、フリーター。
マイペースに生きる彼は、ひょんなことから仲良くなった83歳のおばあちゃん、和田はなえさんから、一戸建ての平屋をタダで譲り受けることになりました。
その後ヒロト君は、いとこである18歳の小林なつみ、通称なっちゃんが上京して来ることになったので、彼女と2人暮らしを始めることに。
東京・阿佐ヶ谷にたたずむ平屋を舞台に、ヒロト君となっちゃんを中心に垣間見る、癒しの日常ストーリー。
変わっていく季節と変わらない幸せ。
2人の平屋暮らし、スタートです。
漫画『ひらやすみ』の面白いポイント3つ
今ではテレビ番組で紹介されるほど人気となった『ひらやすみ』。
この作品のどんなところが面白いのでしょうか?
ここからは筆者が『ひらやすみ』を読んだうえで抱いた感想をもとに、面白いポイントを3つ紹介します。
面白いポイント① やわらかな絵と言葉に癒される
『ひらやすみ』は、やわらかな絵や言葉の表現に癒される漫画です。
絵と言葉には共通して「ゆるさ」や「余白」があるように感じました。
絵だと書き込むところは細かくて感心するのですが、基本輪郭に丸みがあります。
また広々とした空間や一部の背景は、あえて書き込み過ぎないようにしているようにも見えます。
言葉では「~なのでした。」という絵本を読んでいるようなゆるい語り部が印象的です。
また、普段なんとなくでしか認知できない季節の空気間が言語化されていて、スッキリした感覚になります。
こういったゆるくて余白のある『ひらやすみ』の漫画としての表現は、自然と読者の身体をリラックスさせてくれるのかもしれません。
実際どんな絵や言葉の漫画なのか、気になる方は下に掲載しているXの投稿をぜひ見てみてください!
面白いポイント② 人間らしい登場人物に共感できる
『ひらやすみ』の登場人物は ”良い人” 過ぎないからか、強く共感を持てる人が多いです。
癒し系漫画ではありますが、みんな良い面・悪い面のどちらも持ち合わせていて、ただただ平和であるわけではないのです。
今回は、以下の登場人物2人について紹介します。
主人公・ヒロト君は作中特に優しい人物です。
けれどマイペースで、周りの空気を読まないところがあり、場合によっては人をイライラさせたり、驚かせてしまうこともあります。
ヒロト君と仲良くなったはなえおばあちゃん。彼女は普段言い方がキツくなってしまいます。
その一方で「もっと人に優しく接することができれば……」と、素直になれない自分に悩みを抱えています。
癒し系漫画というと「みんな善人」というイメージがあるかもしれません。
一方で、私は人間らしいところが見えるからこそ読者が登場人物に共感でき、好感を持てるように思いました。
面白いポイント③ 暗いリアルが残る世界観が沁みる
『ひらやすみ』は癒し系漫画ですが、現実の暗い部分もしっかり描かれています。
時おり切なさを感じると同時に、心に染み入るような癒しも感じるのです。
登場人物たちは日常の中で、それぞれなにかしら悩むを抱えています。
誰かに言葉や態度で攻撃されたり、時には身近な人が誰かに傷つけられたりと、暗さが感じられる現実の一面も見せてくれます。
私たちの、リアルの日常と一緒です。
暗い部分がしっかり描かれているからこそ、平和で優しい場面を見ると、その一瞬がとても眩いものに見えます。
大学に入学したてで不安いっぱいのなっちゃんや、普段はおだやかなヒロト君さえ、自分の悩みや心の奥底にあるひっかかりと向き合う場面があるのです。
しかし、そんな苦難を乗り超えた彼らのスッキリした表情や行動に、こちらの心が動かされ、勇気づけられます。
心苦しさを感じるお話もあるけれど、そんなリアルが描かれるからこそ、平和なお話が癒しにつながり、より尊く感じるのです。
“暗い描写” と “平和な描写” 、真反対に感じるこの2つ。
不思議とどちらも交互に、そして綺麗に合わさっているのが、『ひらやすみ』を「面白い」と感じるポイントでもあります。
『ひらやすみ』は ”今休んでいる人” におすすめの漫画
『ひらやすみ』は体調不良・キャリアブレイクといった様々な理由で、現在学業やお仕事をお休みしている人に特におすすめです。
なぜなら、私自身がこの漫画を読んだときに「休職中にこの作品と出会いたかったな」と感じたからです。
主人公・ヒロト君はフリーターで、決して裕福な生活ではありません。
しかし彼の日常を見ていると、大したことはしていないのに、すごく幸せそうなんです。
自分が「心地よい / 行きたい」と思えるところに行って、「食べたい / 作りたい」と思ったものを食べて、「会いたい」と思える人にすぐ会いに行く。
主人公・ヒロトくんが自分の願いに蓋をせず、素直に行動しているから幸せそうに見えるんだろうなと、私は感じました。
これは決して、私たちに叶えられない途方もない願いではありません。
まさに作者・真造圭伍先生が語っていた幸せの形です。
先生自身が ”入院” というお休み中に読みたい漫画を目指して描かれた漫画なので当然のことかもしれません。
けれど私は、「当たり前だからこそ気づきにくくなっている幸せ」だとも思うのです。
うつ状態で休んだ経験がある私は、初めて『ひらやすみ』を読んだとき、「休職中に読みたかったな」と思いました。
自分のペースで幸せそうに生きているヒロト君や登場人物たちに元気づけられ、「生きてさえいればなんとかなる」と、少し安心感を持てたからです。
『ひらやすみ』は、幅広い人に楽しんでもらえる作品かと思います。
その中でも「今は少し休みたい」「歩みを止めて自分のあり方を考えたい」。
こんな風に思っている人にとって『ひらやすみ』は 、”休みのお供” となってくれるおすすめの漫画です。
漫画『ひらやすみ』を無料で試し読みする方法
単行本を買う前に『ひらやすみ』の序盤を読んでみたいという人には、現在(2024年4月時点)無料で試し読み出来る以下の3カ所がおすすめです。
次の項目から、それぞれの場所を詳しく紹介していきます。
小学館公式Web漫画サイト「ビッコミ」
小学館が発行している「ビッグコミック」系列の青年誌を読むことができる公式サイトです。
『ひらやすみ』は序盤の3話分を、無料で試し読みすることができます。
「週刊ビッグコミックスピリッツ」の公式Webサイトからも「ビッコミ」へ移動でき、『ひらやすみ』の公式紹介を見た上で本編を読むことができます。
作者・真造圭伍先生のX(旧Twitter)@shinzokeigo
『ひらやすみ』の作者・真造圭伍さんはXのアカウントを開設しており、過去に1話と2話が掲載されています。
1話では単行本だと見られない、巻頭カラーのページを掲載しているのが魅力的です。
『ひらやすみ』の最新情報や、先生が描いた制作途中のイラストを見ることもできます。
〇 第1話(1日目):
〇 第2話(2日目)
〇「ヒロト君の休日。」(0日目)
雑誌「BRUTUS」公式Webサイト
2021年4月15日に発売された雑誌「BRUTUS」No.937にある、本編「ひらやすみ」の連載前に描かれた特別描き下ろしを読むことができます。
ネタバレはないので本編への楽しみを残しつつ、単行本では見られないフルカラー版を読むことができます。
実は1つ前の見出しにある通り、真造圭伍先生のXでもフルカラー版が掲載されています。
見開きのページでスムーズに読みたい人には「BRUTUS」のバージョンも読みやすいかと思い掲載させていただきました。
〇 雑誌「BRUTUS」 真造圭伍「0日目 / ヒロト君の休日。」
『ひらやすみ』は生きる人々に寄り添う癒し系漫画
この記事では漫画『ひらやすみ』について紹介してきました。
まとめると以下のような内容です。
「ひらやすみ」は癒し系漫画でありつつも、現実的な描写があるからこそ読者が共感できる作品です。
作中にある前向きで優しい言葉は心身を癒すだけでなく、日々の疲れや苦しさを抱える読者に寄り添い、背中を押してくれることでしょう。
この記事を参考にして、ぜひ『ひらやすみ』を実際に読んでみてくださいね!
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